千葉大学 海外留学情報

ケルン工科大学(ドイツ)・ミラノ工科大学(イタリア)

ケルン工科大学(ドイツ)・ミラノ工科大学(イタリア)
  • 学年

    修士1年(留学開始時)

  • 所属学部

    融合理工学府

  • 参加プログラム

    海外派遣留学プログラム

  • 留学期間

    2024年8月~2025年7月

交換留学をしようと思ったきっかけや、留学先大学への交換留学を決めた理由を教えてください。

未来社会のシステムをつくるために、先進的な取り組みを行う社会の中で暮らし、異なる価値観に触れることが必要だと感じ、交換留学を志望した。KISDは未来志向のデザインやサービスデザインのカリキュラムが充実しており、リベラルで環境都市でもあるケルンでの生活を通じて、先進的な思想を持つ人々と交流できると考えた。POLIMIでは公的機関との協働プロジェクトを通して、デザインをアイデアで終わらせず実装にまでつなげる力が磨けると感じた。さらにミラノは、伝統と先進性の両方を併せ持ち、「15分都市」など先進的な都市政策を導入する都市でもあり、そこでの生活を通して未来社会への理解を深められると考えた。

留学先大学について教えてください。

KISDは国際色が豊かで学生の自主性を重んじる校風を持つ場所だった。学生が運営するカフェがキャンパス内にあり、日々の交流の場として機能していた。キャンパスがあるケルンの街は、至る所にビール飲む人がおり、夜にはキオスクでビールを買って路上で気軽に飲む光景が日常的に見られる、開放的な空気感が特徴だった。一方、POLIMIではハードワークを求められ、学生の向上心も高かった。ミラノの街ではミラノデザインウィークのような都市全体を使ったイベントが頻繁に開かれ、路上空間を活用したパブリックスペースでは、地元の人々が夜遅くまで卓球や会話を楽しむ様子が印象的だった。

ケルン_プレゼン

留学先の街や留学先大学キャンパスのおすすめの場所を教えてください。

ケルン
ドイツ連邦共和国美術展示館...隣町にある、質の高い企画展を開催している現代美術館。
ミラノ
La Buttiga Beer Room Martesana...運河の縁に座りながらビールが飲めるパブ。

留学先での学びについて、授業内容とともに具体的に教えてください。

今回の留学ではKISDで構想力、POLIMIで実装力を培うことができた。
KISDでは、未来思考やシステム思考をベースとしたデザインアプローチを学んだ。特に「フィードバックループ」などのフレームワークを用いながら、社会構造を読み解き、そこから未来のシナリオをつくる手法を実践的に学べたことは大きな収穫だった。また、異なる国籍・専門の学生とグループを組み、「未来の美」について議論し、誰もが身体編集が容易になった社会を想定した提案を行った。POLIMIでは「Voice of Cracks」というプロジェクトを提案し、ミラノ市内の建築系コレクティブと協働し、市民が老朽化したインフラの修復に関与したくなるような仕組みをデザインした。単なる修復ではなく、ひび割れを「都市の記憶」として可視化し、物理的な傷と同時に社会の分断も癒すという視点を加えた提案が採用され、公式な活動として実施されることになった。

留学中の一番の思い出を教えてください。

留学中の一番の思い出は、ベルリンで開催した国際交流イベント「守破離」への出展と運営である。私は出展管理部門のリーダーとして30人以上の出展者をまとめると同時に、画像認識AIと画像生成AIを用いたインタラクティブなゲーム作品を展示した。来場者の「人間らしさ」をAIが数値化するという仕組みを通じて、「人間とは何か?」という問いを投げかけ、来場者との対話が自然に生まれた。展示は多くの反響を呼び、社会とテクノロジーの関係性について来場者と深い議論ができたことが印象に残っている。自分の問いが他者に届き、社会的な議論を生む場を自らの手でつくれたという実感は、何にも代えがたい経験となった。

留学準備において大変だったことや、今後留学を考えている学生に留学準備段階でのアドバイスがあれば教えてください。

留学準備で最も苦労したのは、滞在許可証に関する手続きだった。ドイツ渡航前に住居が確保できず、現地で約1ヶ月間ドミトリー暮らしを強いられた上、滞在許可証の発行も予定より大幅に遅延した。その結果、次の留学先であるイタリアへ合法的に移動できる見通しが立たず、一度日本に緊急帰国せざるを得なかった。さらにイタリアでは、滞在許可証の取得に必要な警察への出頭を失念し、不法滞在とはならなかったものの、予定より早めに帰国せざるを得なかった。

留学経験を、この先どのように活かしていきたいですか。

留学を通して、未来を構想する力と、それを社会に実装する行動力の両方を培うことができた。今後はこの経験を活かし、AIと人間の関係性を問い直す展示を行なった「守破離」や、市民参加型の都市修復を提案した「Voice of Cracks」のように、社会に開かれた問いを投げかけ、実際の場に働きかけるデザインを実践していきたい。未来志向と現実の接点を行き来しながら、インクルーシブな社会の実現に貢献していくつもりだ。

今後の派遣留学を希望する学生にメッセージをお願いします。

留学を志す段階では、語学や住居、滞在許可証などの心配事もたくさんあるかと思います。実際、私自身もビザ手続きの遅れから緊急帰国を余儀なくされたり、ドイツ語を喋れないのに急にベルリンの展示の運営に誘われたりと、想定外のことが多くありました。でも、そうした想定外こそが自分を成長させてくれたと感じています。留学は自分の視野を広げる貴重な機会になると思います。不安があっても、ぜひチャレンジしてみてください。

サローネ ケルン_オクトーバーフェス

1日のタイムスケジュール

7:30 起床

8:50 登校

9:00 授業

13:00 大学近くの店で弁当を購入し、友人とランチ

14:00 授業

18:00 帰宅

19:00 ルームメイトと夜ご飯

20:00 ベルリンの展示計画について会議

23:00 就活対策

0:30 就寝

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