ナント大西洋デザイン大学 / IADE

-
学年
修士1年(留学開始時)
-
所属学部
融合理工学府
-
参加プログラム
CODEプログラム
-
留学期間
2023年9月〜2024年9月
交換留学をしようと思ったきっかけや、留学先大学への交換留学を決めた理由を教えてください。
私は昔から漠然と海外への興味を抱いており、この思いを満たさずに学生生活を終えることはできないと感じていました。また漠然と、自分はいつか世界で働くだろうと考えていました。私の目標は世界的な映像監督になることです。他国での教育を受け、さらに世界中から集まる学生たちの表現方法に触れることで、自分にとって大きな刺激となるはずだと期待していました。
留学先大学について教えてください。
【ナント大西洋デザイン大学】
移転したばかりでガラス張りの開放感ある校舎が特徴的です。各種工房や多様なタイプの教室が整備されており、学びやすい環境が整っています。男女共用のトイレが設置されている点は、ヨーロッパらしい配慮だと感じました。ナントの街は落ち着いた雰囲気で、大学は街の中心から自転車で15分、徒歩で30分ほどの距離にあります。生活に必要なスーパーや病院も充実し、機械仕掛けの動物が街を練り歩くお祭りやクリスマスマーケットといったイベントも多く、とても過ごしやすい街です。また、日本の漫画やアニメのお店、日本食レストラン、日本庭園もあり、日本文化が根付いていることに嬉しさを感じました。
長期留学に初めて挑む私にとって、「なんとなく・ナント」という日本人留学生を支援するボランティア団体の存在が非常に心強かったです。千葉で25年間過ごしたフランス人が会長を務めており、日本に興味を持つフランス人や現地の日本人、日本人留学生のためのコミュニティが形成されています。この団体のサポートのおかげで、家探しや現地での手続きがスムーズに進みました。
【IADE】
テージョ川沿いに位置する小さな私立単科大学です。教室の数が限られているためか、院生の授業は19時から23時に設定されています。最寄駅はリスボンの観光エリア中心部からわずか1駅の位置にあり、世界中から旅行者が訪れます。駅から大学へ向かう通学路は左手に海、右手にカフェが並び、夕方の西日が差し込む時間帯はとても心地よく感じました。夜遅くまで賑わっており、23時過ぎの帰宅時にも安心して通学ができました。フランスと比べて中国系やアフリカ系の人が少ないことに歴史や地理的背景の影響を感じ、興味深く思いました。

留学先の街や留学先大学キャンパスのおすすめの場所を教えてください。
【ナント大西洋デザイン大学】
大学内でお気に入りの場所は、5階のテラスです。空き地越しに見える夕陽が美しく、夕方のひとときをゆっくり過ごせます。街中ではブルターニュ大公城前の広場や、日本庭園近くの川沿いもおすすめです。ナントの空にはよく飛行機雲が見られ、冬の澄んだ空に映えるその様子が印象的です。
【IADE】
IADEでは、授業後に最寄駅前の海沿いで、旅行客と一緒にのんびり過ごす時間が好きでした。特に、夏の21時頃に授業が終わる日は、最寄駅から対岸に渡るボートに乗り、夕陽を見ながらリラックスできました。
留学先での学びについて、授業内容とともに具体的に教えてください。
【ナント大西洋デザイン大学】
ナント大西洋デザイン大学では、教授1人に対して学生30人ほどの授業で、ほとんどが座学中心でした。授業では特に環境負荷やSDGsの観点を重視したデザインリサーチが多く、EV先進国であるフランスらしさを感じました。また、プレゼンテーションのビジュアルや発表時のコミュニケーションが評価項目として重要視されており、他国からの留学生たちの発表スタイルを見ることが学びになりました。特に中国から来た友人たちがAIツールを駆使している様子は新時代を感じさせ、感心しました。批評は厳しめでしたが、貴重な学びの機会となりました。

【IADE】
IADEでは、教授1人に対して学生10人ほどの少人数クラスで、実践的な授業が中心でした。授業時間が少ない分、毎週の課題量が多く、手を動かしながら教授と相談し、個別あるいはグループで進めていくスタイルです。批評は優しめで指示も少なく、各自の裁量が求められました。教授と話し、自分の意見を述べる機会が多く、各国の学生の個性や視点が明確に表れるため、非常に興味深かったです。また、英語で意見を的確に言語化する必要があり、そのプロセスを通じて自分の考えや目指す方向性に対する理解が深まりました。
留学中の一番の思い出を教えてください。
【ナント大西洋デザイン大学】
留学開始直後は英語が全く話せず、授業が始まる頃には焦りを感じていました。そのため授業の後はバーでの留学生の集まりに毎晩参加し、最初の20分は会話を聞き取ることに集中していました。少しずつ聞き取れるようになり、一言二言と話せるようになっていき、1週間が経つ頃にはぎこちないながらも会話のキャッチボールができるようになりました。体力的にも精神的にもきつく、毎晩お風呂に入らず寝てしまうほど疲れていましたが、充実感と成長を感じた貴重な1週間でした。
【IADE】
ナントの授業では教授が学生全体に話しかける形式でしたが、IADEでは教授と学生が直接話し合い、その後は個々のペースで進めるというスタイルでした。そのため教授との距離がとても近く、友達のように話してくれる教授もいました。ビザの関係で到着が1ヶ月半遅れてしまいましたが、教授たちは皆温かく迎えてくれ、遅れを気にかけてサポートしてくれたことが心に残っています。
留学準備において大変だったことや、今後留学を考えている学生に留学準備段階でのアドバイスがあれば教えてください。
【全体を通して】
語学と費用に対する準備は重要です。まず、英語力に関しては語彙力を特に強化してください。単語力があれば最悪でも意思疎通が可能です。時間に余裕があればリスニング、さらにスピーキングの練習を重ねると良いでしょう。また、現地語の基礎があれば、より充実した留学生活が送れる可能性が高まります。資金面においては、予期せぬ出費が発生することがあるため、余裕を持たせて準備することをお勧めします。また、書類準備の際には、日付の形式をDDMMYYに統一してください。
【ナント大西洋デザイン大学】
インターナショナルコースはすべて英語で行われ、コースの学生のほとんどは留学生です。そのため、フランス人と交流し、フランス語を学ぶには積極的な行動が必要です。また、冬の時期には日照時間が短く、大学の行き帰りがほぼ暗闇になることから、気分が落ち込みやすくなります。対策として、ビタミンDのサプリメントを用意したり、運動や日光浴の時間を意識的に取り入れると良いでしょう。
【IADE】
インターナショナルコースはすべて英語で行われ、コースの学生は全員留学生です。リスボン市内では「働いている人以外は全員旅行者だ」と言われるほど観光客の割合が高いため、ポルトガル人と交流する機会は限られています。ポルトガル語を学びたい場合は積極的に行動する必要があるでしょう。また、日本ではブラジルのポルトガル語に関する情報が多く、ポルトガルのポルトガル語に関する教材が少ない点も課題です。ビザ取得には時間がかかるため、早めの準備が重要です。大使館の必要書類リストが更新されていない場合があるため、直接電話で確認するとスムーズです。
留学経験を、この先どのように活かしていきたいですか。
【ナント大西洋デザイン大学】
フランスでは、歴史や地理、政治、経済といった要因が人々の移動に与える影響を強く感じました。特にアフリカ出身の友人と親しくなったことで、アフリカがより身近な存在となり、今後も彼らと連絡を取り合いながら、日本にいながらもヨーロッパやアフリカの情勢に敏感であり続けたいと思います。また、中国出身の友人がAIを使いこなしている姿に感銘を受けたため、海外のソフトウェアにも関心を持ち続けたいです。
【IADE】
人口1,000万人の国における規模感や立ち回り方から、他国と連携するための新たな視点や仕事の方法を学びました。これらの経験は、今後のキャリアにおいて自分のアイデンティティとして活かし、強く押し出していきたいです。
今後の派遣留学を希望する学生にメッセージをお願いします。
【全体を通して】
ヨーロッパへの留学では、言語の違いに不安を感じるかもしれません。私も同じでしたが、様々な国の言葉や発音に触れることで「こんな音があるのか!」と新鮮な驚きを感じ、アメリカではなくヨーロッパに来て良かったと思いました。バスで1万円ほどで隣国へ、3万円ほどでアフリカにも旅行でき、幅広い刺激が得られる環境です。人生で一度は住む価値があると思います。
【ナント大西洋デザイン大学】
ナント大西洋デザイン大学は街の中心に近く、美しいキャンパスが魅力です。2ヶ月に1度、コース全体でフィードバックの時間があり、学業や生活面について話し合えるため、大学は留学生をサポートする姿勢が強いです。ファッションや食のデザインなど、様々なジャンルを学べるため、とても刺激的な環境です。パリでは約9割、ナントでは約7割の人が英語を話すので、言語の壁もそれほど感じません。人々は親切で、温かい印象を持ちました。
【IADE】
IADEではアウトプットの授業が豊富で、様々な学生のテクニックを学べるのが魅力です。また、国によって異なるソフトウェアを使うので、自分に合うツールを見つけるチャンスにもなります。リスボンの街は活気に溢れ、観光地としても人気があり、9割以上の人が英語を話すため安心です。IADEの方が全体的に文章量が少なくなりましたが、ポルトガル生活の方が楽しかったです。

1日のタイムスケジュール
7:30 起床
7:45 弁当準備
8:00 朝食
8:30 出発
9:00 授業(4h)
13:00 昼休憩(1h)
14:00 授業(4h)
18:30 帰宅
19:00 料理
20:00 夕飯
21:00 作業
25:00 就寝